《MUMEI》

「──郎」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「おーい、聞こえるかー?」

「‥‥‥、!?」

 横を向いた瞬間、雛菊は咄嗟に身を引いた。

「な‥何だいきなり‥っ」

「いや、ずっと呼んでたんだけどなぁ?」

「せ‥拙者は‥」

 言葉に詰まる雛菊の頭に、草助が、ぽんと手を置いた。

「疲れてんだろ? 朝から歩き通しだったもんなぁ」

「む‥」

「取りあえず昼寝でもすりゃ大丈夫だろ」

「‥ゎ‥分かったからその手を退けろ」

「ぉ‥、わりい」

「‥何処へ行くのだ?」

「ちょっくら出掛けてくる」

「待てっ、拙者も──、?」

「お前は休んでな。明日も歩くぞ?」

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