《MUMEI》

「は──‥」

「御寒いですか?」

「ううん、息が白いなぁって」

「そうですね──」

「‥ぁ」

アンリ様がふと立ち止まられたので御尋ねすると、

「蕾──」

そう仰られて、枝先を示されました。

見ると、固く閉ざされた小さな蕾が。

「春になったら咲くんですね──」

「うん。この蕾ね、凄く綺麗なお花が咲くの」

「そうなんですか──」

「だから、また咲く頃になったら見に来ない?」

「はい、──是非」

「じゃあ、春になったらね」

「はい」

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