《MUMEI》

「俺は特別だって。」


「………。」


「人間じゃ無いって。」

「………。」


「なあ、人間って何なんだ?」


颯ちゃん………。


「人間はな、痛みが分かんねん。」


「痛み?」


「せや。
怪我した時、血が出るやん?
痛いやん?

それが人間やねん。」


颯ちゃんは黙って下を向いていた。


「それとな、人の痛みも分かんねん。

苦しんでいる人を助けたなるねん。」


当たり前のことを言って見たつもりだ。


だけどまさか、
この言葉が颯ちゃんを追い詰めることになるなんて………。


思いもよらなかった。


「やっぱり……。

俺は人間じゃ無いんだ。」

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