《MUMEI》




俺は裕斗に話した。





隆志に言われて兄貴に電話した事。






馴れない運転で死ぬ程緊張した事。






…ホテルに泊まった事。






兄貴から電話があった事。









でかい発作起こして救急車に乗った事。









…隆志が俺をしっかり支えてくれた事……







兄貴に言われた事に動揺してマンション飛び出して裕斗の胸に飛び込んだ事。








その間に、隆志が兄貴に刺された事……









仁から電話があって、仁の元に兄貴が居るらしい事が分かった事










…昨日一晩中隆志と二人でいろんな事を話し会った事……










二人床に並んで、ベッドに寄りかかりながら俺は全てを吐いた。







時々裕斗はカチリとライターを押し、煙草に火をつけていたが、それ以外の音は何も起てず、黙って俺の話を聞いてくれた。





自分でもびっくりする位自然に説明出来て、満足して、




言っている間全く手をつけなかった煙草に手を伸ばすと、裕斗がライターを俺に傾けてきた。





俺は煙草を咥えながら裕斗に近付く。



カチリと音が鳴る。







漸く吸い込んだ煙。





はあと一気に吐きだすと、裕斗はゆっくりと立ち上がった。

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