《MUMEI》

「心配すんなって、別にぶつかって怪我するようなもんじゃねぇからさ」

「そういう問題では無いっ」

「ははっ、元気いいなぁ、お前」

「笑うなっ」

「開けてみろよ、ほら」

 草助に言われ、包みを開く雛菊。

「‥甘‥納豆‥?」

「お前甘いもん好きみてーだからさ、そういうのも好きなんじゃねぇかなって」

「こんな値の張るもの‥、一体どうやって」

「いやさ、途中たまたま助けた奴に貰った金──」

「なっ、何故これに使ったのだ‥!?」

「お前が喜ぶかなぁって」

「‥な‥」

 何故自分の為に使わないのだろう。

 雛菊にはそれが不思議でならなかった。

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