《MUMEI》

「何食いたい?腹減ったろ〜…」

「…あ、うん…」





冷蔵庫の前でしゃがみ込む裕斗。




煙草を吹かしながら裕斗に近寄り冷蔵庫を覗く。




「玉子と烏龍茶しかねーじゃん…」




「あ〜、ここんとこ真菜あんまり帰ってこねーからさ、…玉子だけか〜…、ピザでもとるか?」




「野菜室は?」




「あ、野菜か、あるかな………」




裕斗は冷蔵室を閉めその下の段の野菜室をぐっと引く。




「おぅ!、オレンジ色のキャベツ発見!」



買い物袋に丸ごと入った、艶のないオレンジ色に変色したキャベツを裕斗はニヤニヤしながら取りだした。




「あ〜あ、新聞紙包むとかしろよ、買い物袋のままじゃもたないって」



「そうなん?まあ食えねーな、捨てっか」



「いや、かなり剥けば中は無事かも、あ〜シワシワの山芋発見!」



良く見たらむき出しの山芋がキャベツがあった場所の下にあってそれを俺は掴む。



「ハハッ!それ買ってから一ヶ月はたってるぞ、そりゃ〜完璧に捨てだな」




パキッ!




「あ!白い!!」


「甘いな、山芋は結構もつんだな、つかこの様子じゃ真菜ちゃんも料理してないな?」


裕斗はまな板の上でざっくりとキャベツを真っ二つにして、両手に持ちながら振り向いた。




「真菜は俺の妹だで?まともにそんなことやる訳ねーだろ、ほら、中は緑!」

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫