《MUMEI》 「──これは美味だな」 「機嫌、直ったか?」 「‥‥別に拙者は機嫌を損ねて居た訳では無い」 甘納豆を口に入れながら雛菊が言ったとほぼ同時に、草助が欠伸をした。 「わりい、ちょっと寝るな」 「‥ぁぁ」 疲れて居るのだろう、そう思い、雛菊は再び甘納豆を口に入れた。 「──なぁ草助‥」 「───────」 「もう眠ってしまったか‥」 呟くと、娘は暫し若人を見つめた後、退屈だと思いつつ部屋の隅で書物を読んでいた。 前へ |次へ |
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