《MUMEI》 「風が──‥出てきましたね」 丘の上は見晴らしが良く、居心地もとても良いのですが── 「ちょっと寒いね」 「そうですね──」 風が出て来た為、空気が冷えてきたように感じます。 コートを脱いで、肩から掛けて差し上げると、アンリ様がその半分を広げて、入るよう仰られたので、少し驚きました。 「ほら、風邪引いちゃうよ?」 「‥ぁ‥、はい」 「ねぇ、夕陽──見れるかな」 「はい、きっと」 「──手、握っていい?」 「はい、どうぞ」 答えると同時に、小さな両手が僕の左手を握り締めてきました。 前へ |次へ |
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