《MUMEI》









「…なんだかなあ、結局俺が作ってるし」





ジュウジュウ唸るフライパン。





香ばしい匂い。





キャベツと玉子だけのお好み焼き。
しかし擦りおろした山芋入りだから多分、美味しい。




「一家に一人惇ちゃんだね」




そう言いながら裕斗は鏡に向かいピアスを付け変えている。




裕斗はこれからバラエティーの収録が待っている。




バラエティーの収録は深夜が多い。




お笑い好きの裕斗は事務所にお願いして最近バラエティーの仕事をやりだした。



つか、たんに芸人を傍で見たいだけ丸出し。



裕斗の出た番組見たけど、回りに上手く絡めなくて笑ってごまかしてるだけで完全に飾りにしかなってない状態だった。





それでもポチポチと似た様な仕事が入るのは事務所の力だけじゃない。




とにかく容姿がめちゃめちゃ良いからだろう。




こいつは黙っているだけでも華がある。



居るだけで場が引き立つ。

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