《MUMEI》
一日前の記憶
高遠の衣服は現在枯れた花びらだ。
全く気にせず会話しちゃうこの人達は不思議だ。
カッコイイ人は堂々と裸で会話するのがステイタスなのか?

「亡霊に追い掛けられたんですよ?」

ぼ、亡霊……?



「ななくんに追い掛けられたの。」

国雄さんは髪に付いた花びらを全て取り除くと何故か高遠の背中に移植した。


「……なな?」


「ウチ先輩に追い掛けられて、花ぶつけられて転んで俺のマネージャーの車の前に自転車転がして頭ぶつけて朦朧とした意識の中で『七生を振り切って、今日は家に帰りたくない』って車に乗り込んだんじゃないですか。」

高遠は俺の台詞っぽいところに声色と口調を真似してくるからイラッとする。


「……まだ思い出せ無い?」

花びらを移植しつづけながらも国雄さんは落ち着かせてくれる優しい笑顔をくれた。


「ぼんやり、車に乗り込んだ記憶はあるんですけど……その、追い掛けて来た……」


「なな君のこと?」


「その人……誰ですかね?」





「それって、まさか記憶喪失?」

高遠曰く俺は記憶喪失らしい。

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