《MUMEI》

僕の体には、常に誰の物かすら分からない、何種もの血が巡っています。アンリ様の血も。

「アンリ様──」

「なあに?」

「恐いと──思いますか」

「誰を‥?」

「僕を──‥」

「まさかぁ」

「ぇ‥」

「リュートは優しい吸血鬼だよ」

「僕が‥?」

「うん。だって、リュートが半吸血鬼になったのは、私の為なんでしょ?」

「──はい」

「だから、安心して」

「───────」

「私が血を分けてあげるのも、側にいて欲しいって思うのも、みんな、みんな──リュートの事が大好きだからなんだよ?」

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