《MUMEI》

俺は眠れず、朝をむかえた
麻美…どこに…

ずーっと考えてた

俺が、麻美なら、
俺やエリの知る場所には居ないな…
…………

ダメ元か…

麻美の会社行ってみるか

麻美の携帯に、電話番号……消されてる…

場所はわかる、行くしかないな

仕事、休むか

俺は始発に乗った

麻美、絶対時間ずらして行くはずだ
変な確信があった

窓の外を、ぼーっと眺めてる俺

「!」
春奈…、もし、田舎に帰ってなければ…

麻美のルームメイトだった女の子だ

俺は、春奈のアパートに向かった
 
 
以前から表札は出してない
もしかしたら、違う誰かが住んでるのかも…

俺は、待つことにした
春奈が、出て来てくれたら…
寒いな、意外と…
6時過ぎか…

7時ぐらいになると、人も多くなり、
俺、変な奴に見えるかもな…
そのとき、アパートの階段を降りてくる人が

俺を見てる

麻美でも春奈でもない

髪の短い眼鏡をした、女性だった
ゴミを出しにきたようだ

じろじろ見られた

そうだろうなぁ、
不審者に見えるよな

春奈の名字わかれば、聞けるのに
聞いても、不審者だよな
朝から、こんな所で

女性が階段を上がって行った

どの部屋だろう

二階のドアが見える場所に移動した

すでに、女性は部屋の中だった…

春奈が住んでた玄関を見てた

ドアが開いた! 

さっきの女性だ

…ダメかぁ…

力が抜けて来た
わずかな望みも断たれた今、歩く事さえ、億劫にかんじた…

女性が俺に近づいて来た

…不審者に思われたのかな?

「どうぞ」

俺「?…」

「どうぞ、来て下さい」

俺「えっ?…いえ、あのう…」

「迎えにきたんでしょ、
…麻美、居るわよ」

俺「えっ!、春奈さん」

春奈「…わからなかったの!優斗さん…」
「メイクしてないから?」
不愉快そうに微笑んだ春奈
だって、髪短いし、眼鏡…
春奈「早くしないと、麻美、また、逃げちゃうよ」

俺「あっ、はい」

玄関が開かれ

春奈「麻美、優斗さんだよ、来なさい」

麻美「…」

出て来ない

春奈「…もう…」

俺「春奈さん、あがってもいいですか?」

春奈「どうぞ」

麻美「来ないで!」

奥から、麻美の声がした

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