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《MUMEI》 ぷろろーぐ木々をみあげれば自由に伸びた枝が複雑に重なりあい、風にふかれたそれは緑色のそらの合間から星が煌めくようにさえ見える。 足元をみれば見たこともない香草、花、草…これでもかというほどびっちり栄えた大地はどこまでも続く神秘のようにさえ―― 『ていうか、ここどこ…』 小石というにはすこし大きめの石に腰を下ろし、重力から自由になった足をだらんと伸ばした。 神秘だなんて撤回。 詩的な言葉をならべている場合ではない。キャンプ地のまわりを散歩にいってくるつもりが完全に迷子になっていた。 方向感覚がわからなくなったのか見たこともない草なのについさっきみたような錯覚さえ覚える。このさい人に会えればラッキーだなんて贅沢はいわない。見知ってる草でも花でも虫でもいい、気が紛れるなら…それほど追い込まれていた。 まったく、こんなことなら昆虫図鑑を持ち歩いたり春の七草を勉強しておくべきだった。 これで何度目になるのか自分でも意味の分からない後悔に浸る。 『せめて食べ…うわっ!』 食用キノコ図鑑でも読んでおけば、なんて考えが吹き飛び現実に引き戻される。 お尻のしたの石がビクリと揺れた…そんな気がしたから。 |
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