《MUMEI》 「大丈夫だって、俺はそう簡単にはくたばんねぇからさ」 「何を馬鹿な‥っ、ごほっ」 「意地張ってっと──お前の方がくたばっちまうぜ?」 「‥お前を置いて逃げるなど出来ぬ」 「おいおい、まだ言うかぁ‥?」 「お前は恩人だっ。そのお前を‥置いて逃げるなど出来るものかっ」 自分でも驚くような剣幕で捲し立てた雛菊は、煙を吸い込んだが為に再び激しく噎せた。 「華郎」 「‥何だ‥」 「頼む、言う通りにしてくれ」 「草‥‥‥す‥」 それ以上言葉が続かない雛菊に、草助は縄を縛り付ける。 そして開け放った格子から、余った縄を垂らした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |