《MUMEI》

 雛菊は草助に言われた通り、縄を伝い、下へと降りる。

 そして、地に足が着くと同時に、力が抜けたようにへたり込んだ。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 先程までいた部屋には、衰えを知らぬとばかりに煙と炎が渦を巻いている。

「‥っ‥‥」

 何故あの時、あの場に自分も残らなかったのだろう。

 何故、あの男に逆らわなかったのだろう。

「草助‥」 

「なーに暗い顔してんだ?」

「‥‥‥‥、!?」

 顔を上げるなり、雛菊は唖然とした。

「‥お前‥‥」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫