《MUMEI》
真星の幼なじみ
   〜麗羅視点〜


急いで教室を去っていく海の背中を見送る。


栄実の話をする海はとても幸せそうで、何だか楽しそうだった。


いつもよりよく喋る海に少し驚いたが、その様子から海がどれだけ栄実のことを大切に思っているかが伺える。


チョコレート系のお菓子かぁ・・・


私は、自分の席に戻り帰る準備をしながら、海が教えてくれた栄実の好きな食べ物について考える。


帰りに本屋さんに行ってみようかな・・・


など色々なことを考えてていると私を呼ぶ声がし振り返る。


「麗羅!今日も一緒に帰っていいかな?」


振り向くとニッコリと微笑み質問する女の子――真星の姿があった。


「うん、いいよ。」


真星に笑顔を返し、鞄を持つ。


他愛もない話をしながら、廊下を歩き階段を下る。


げた箱でくつに履き替え歩きだそうとした時、げた箱からくつを取り出す途中で固まっている真星が目に入る。


どうしたんだろ?


固まった真星の視線の先にはサッカー部員が2、3人居た。


「真星?どうしたの?」


私の声に驚いたのか真星は一瞬肩を震わした。


「えっ、あ・・・何でもないよ!ちょっとぼーっとしてた」


真星は苦笑いを零しながらそう答える。


私は真星をじーっと見ながら尋ねる。


「あの人達知ってるの?」


私の質問に最初、真星は困ったように笑ったが


「あ〜、あの中に幼なじみがいて・・・


久しぶりに見たから、ちょっと驚いただけ」っと答えてくれた。


答えながら真星の視線は1人のサッカー部員に注がれる。


その視線の先にいる人が幼なじみなのだろう。


まだ春なのに焼けた肌。


髪は短くて結構明るい色をしている。


いかにもスポーツ少年ですっといった爽やかな笑顔に、細いがしっかりと筋肉のついた足。


ふと真星の幼なじみから視線を外し、真星に目をやる。


その時の真星は見ている私まで切なくなってしまうような、切ない表情を浮かべていた。


「まほ「遅くなっちゃうね!早く帰ろう」


真星に声をかけようとしたが、元気一杯の真星の声にかき消されてしまった。


真星は私の腕を掴みぐいぐいと引っ張って進む。


帰り道も真星は元気そうに振る舞っていたが、どこか無理をしているように見えた。


真星の笑顔の奥にある気持ちを、私は聞くことが出来なかった。


真星の話は途切れなくて、"聞かないで"って言っているように思えたから。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫