《MUMEI》 対面〜海視点〜 俺は急いで切符を買い、止まっている電車に乗り込む。 プシュー―― その音と共に電車のドアがしまる。 ふぅ・・・良かった間に合って。 俺は大きく息を吐いた後呼吸を整えるように、ゆっくりと息をする。 升坂先生がいる蓮南小学校へ行くための電車は、30分に1本しかないため乗り過ごしたら結構待たなければならない。 升坂先生・・・簡単には教えてくれないだろな。 俺はため息をつきながら、過ぎていく風景に目をやる。 しばらくドアの近くで景色を見ていたが、席が空いたので座ることにした。 7つ先の駅って結構遠いんだな・・・見える景色にだんだん緑が増えていき、しみじみとそう感じる。 蓮南小学校があるのはだいぶ田舎のようだ。 駅に着いた時には日も少し落ちかけ、薄暗くなっていた。 急いで行かなきゃ先生帰っちゃうかな・・・? 俺は早歩きで駅を後にし、蓮南小学校へ向かう。 駅から蓮南小学校は歩いて5分ぐらいの距離に位置しているのですぐに着いた。 校門をくぐり、明かりのついている教室を探す。 沢山の教師らしい人物が居る教室が外から見え、近づいていく。 ある程度近づくと、ある人物の顔が目に留まる。 ・・・・・!升坂先生だ! ちゃんと升坂先生がいることに胸を撫で下ろす。 もっと近づいて行き、升坂先生の顔がはっきり見えるところまで行く。 なんか昔よりだいぶ老けたな・・・。 そんなことを思いつつ、職員室の窓をコンコンっとノックする。 音に気付いた升坂先生は、俺の顔を見て酷く驚いた顔をした。 目をパチクリさせていたかと思うと目をこすり改めて俺の姿を確認する。 そんな升坂先生の様子に俺は苦笑いを零す。 職員室の外に繋がるドアから升坂先生は出てきて俺に駆け寄ってきた。 「青浜か・・・?」 まだ目をパチクリさせて升坂先生は質問してくる。 先生の質問に頷くと 「お久しぶりです」っと会釈をした。 「おぉ!久しぶりだな」 慌てて返事を返し微笑む升坂先生の笑顔を見て、やっぱりだいぶ老けたよなぁ〜っと思ってしまった。 笑った時に入るシワは昔よりだいぶ深くなり、目元にも老いを感じる。 先生はあの事件のせいで生徒の親にだいぶ責められたり、非難されたようだ。 老けた大きな原因は・・・多分あの事件だろうな。 前へ |次へ |
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