《MUMEI》
葛西先輩の家庭事情
「俺、一人暮らしだから」

「だから、時々泊まりに行って世話してやってんだ、俺が」

「「へ〜」」


(どうでもいいけど、さっきから俺と志貴ハモってないか?)


チラッと志貴を見ると…


「ハモってばっかりよね」
「だな」


苦笑する志貴に、俺も口元が緩んでいた。


そんな俺達を見て微笑みながら、葛西先輩は続けた。


「兄と姉が一人ずついるんだけど、最近兄が結婚して嫁さんと子供連れて帰ってきたんだ。
姉ももう結婚が決まってるし、丁度いいから俺も家を出ようと思ってね。
去年から一人暮らしなんだ」

「「へ〜」」


相変わらずハモる俺と志貴。


(ん? 兄と姉?)


「もしかして、葛西先輩末っ子ですか?」

「…よく長男だと思われるけどね」


(面倒見いいもんな)


普通、末っ子はわがままか甘えん坊だと思っていた俺にとっては意外だった。


「兄は不器用だし、姉はのんびり屋でさ。年離れてるけど、俺がしっかりしなきゃって昔からそう思ってたから」

「「へ〜」」

「ハモってばっかりだな」


葛西先輩の隣で祐が悪戯っぽく笑っていた。

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