《MUMEI》

「ぇ、‥ちょっと待て。じゃあ男の振りしてた‥って事か‥?」

 草助がまだ信じ堅いという表情をしたまま問うと、雛菊は得意げに腕組みをして踏ん反り返る。

「どうだ、私の演技はなかなかの物であっただろう」

「ぁー、っと‥」

 未だに状況が理解出来ない様子の若人。

「で、お前──どこの娘だ‥?」

「それはまだ言えぬ」

「なら、無理には聞かねぇけどさ‥、お前、女だってのに何で侍の格好なんか──」

「色々とな」

 雛菊が複雑そうな表情をした為、草助はそれ以上問う事はしなかった。

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