《MUMEI》 ◆◆◆ あの男はあれっきり‥ 姿を見せたりはしない。 声も聞こえない。 ‥そりゃそうか。 もうあいつは吹っ切れたんだからな──。 「──刹那?」 「ん‥、何だよ玖珠」 「木登りもいいけど──そろそろ降りて来たら?」 「今は特にする事ねーだろ」 「無いから降りて来なさいって言ってるのよ」 「そんなに言うならお前が登って来りゃいーだろ」 「私は木登り苦手なんだもの」 「何で木登りは駄目で屋根は大丈夫なんだか‥」 「煩いわね──‥」 「午後にあの場所に行くんだろ。お前支度とか出来てんのか」 ◆◆◆ 前へ |次へ |
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