《MUMEI》

「なぁ、雛──」

「今は『華郎』だ」

「‥‥、華郎、あのさぁ‥」

「ん‥?」

「よく今まで独りでやってこれたなぁ」

「しっ‥失敬なっ」

「それにさぁ、やっぱお前どっかの貴族かどっかの──、!?」

 草助の台詞が途切れたのは、雛菊が彼の口を塞いだからだ。

「あまり大声を出すなっ」

「‥‥‥‥‥っ、はぁっ、窒息するだろ、おい‥」

 やっとの事で雛菊の手を払いのけた草助は、周りに人気がない事を確認すると、再び口を開いた。

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