《MUMEI》

「そんなに心配しないで」

「アンリ様‥?」

「大丈夫だよ」

「──有り難うございます」

「安心した?」

「──はい」

「良かった」

僕の手を握ったまま、アンリ様は、緩やかな風に身を委ねるように瞼を伏せられました。

「あったかいね──」

「御昼寝なさいますか?」

「うん‥、ちょっとだけ──。寄り掛かってもいい‥?」

「はい」

「───────」

アンリ様は僕の肩に軽く頭を乗せて、寄り掛かられました。

金色の髪が微かに靡く度に、陽の光を受けて眩しく光って見えるのを、僕は少し羨ましく思いました。

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