《MUMEI》
燃ゆる灯火
◆◆◆

事故現場を後にしてから‥

また社の場所に戻って来た。

「───────」

「どうしたの? しんみりしちゃって」

「‥別に」

今思えば‥

あの日──‥

あの林に逃げ込んでなかったら‥

霊に追われてなかったら‥

見えて≠ネかったら──‥

ほんとにおれは‥

こいつとは一緒になんて暮らしてなかった。

「──ぁ」

一瞬‥

あいつがおれを見てる気がした。

気のせいかも知んねーけどな──‥。

◆◆◆

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