《MUMEI》
諸悪の根源
それから、俺達四人はそのまま教室でお昼を食べた。

三年の葛西先輩と祐が二年の俺達の教室にいるのは、本来なら普通ではないのだが


二人が


特に祐がよく教室に来ていたから


これが普通


俺達も、同級生もそう思っていた。


そして


「や、祐也」


ザワッ!


(せっかく普通になったのに…)


穏やかに昼休みが終わると安心した時


「何だよ、頼」

「冷たいな、せっかく会いに来たのに」


昨夜の事が嘘のように、頼はいつものようにヘラヘラと笑っていた。


「祐也には忍さんがいるんだからね」

「遠距離なんて、長く続かないよ?」


志貴の言葉に答える頼の言葉は


ある意味普通だったが


(何だ?)


その口調に、俺は何故か違和感を覚えた。


「人の気持ちなんて、変わるんだから」


そう言った頼からは、いつもの笑顔が消えていた。


「お前…?」

「祐、そろそろ」

「あ、あぁ」


(祐も変に思ったか)


戸惑いの表情を浮かべたまま、祐は葛西先輩と一緒に自分の教室に戻っていった。


「あのさ…」

「そうそう、祐也と志貴に部長から伝言があるんだ!」

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