《MUMEI》 部長の誤算「うるさい」 まるで俺の言葉を打ち消すような大声に、俺より先に志貴が不満を訴えた。 (耳、痛て〜) 俺は頼から離れ、耳を押さえた。 「だって昼休み終るし! あ、だったら早く来れば良かったとか言うなよ! で、部長から伝言なんだけど、今年は予定通り合宿無しで、夏休みの部活はお盆以外の週三回、月・水・金だって」 「ちょっと待て」 俺は慌てて言われた内容をメモした。 「あれ? 志貴はいいのか?」 志貴の手は全く動いていなかった。 「それ位なら覚えられるから」 (さすが) 感心していると、頼は更に続けた。 「それから、祐也の友達の小林に奇跡が起きちゃったから、今小林がかわりを頼んでるらしいよ」 (小林って…) 確かに守は先輩の威厳は全く無いが 一応友達だし、抗議しようと思ったが 「奇跡って何だ? それにかわりって?」 その二つの方が気になった。 「詳しくは、本人に聞いたら? じゃあね」 頼は質問に答えず、サッカー部三人組と入れ替わるように、自分の教室に戻っていった。 前へ |次へ |
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