《MUMEI》

 火事は程なくして収まり、辺りは何事もなかったかのように静まり返った。

「静かになったな‥」

「怪我人とか出てねぇといいけど──、おい、どこ行くんだ‥?」

「‥追うぞ」

「誰を」

「放火犯に決まって居るだろう!」

「‥!?」

 雛菊の怒号にびくついた草助は、目を円くするばかり。

「何でそんなに怒っ──、おい!?」

 急に駆け出した雛菊を、草助が瞬時に止める。

「待てって華──」

「何を待てというのだっ」

「焦んなって。我武者羅に飛び出して怪我したらどうすんだよ」

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