《MUMEI》

「‥草助」

「何だ? 雛──じゃなくて華郎」

「──‥やはり教えぬべきであったか‥」

「なぁ?」

「‥ん」

「『華郎』って──自分で考えたのか?」

「いや、師匠だ」

「何でわざわざ男の名前なんか──」

「役に立つだろう、と」

「今みたいに‥か?」

「ぁぁ」

「なるほどなぁ──」

 頭の後ろで手を組み、藍に染まった空を見上げる草助。

「『雛菊』ってのは──」

「べ‥、別に菊だからどうという訳では無いぞ‥!?」

「いや、何か思いっきり何かありそうな反応だぞ、それ‥」

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