《MUMEI》
第五華
「‥待った」

 草助が雛菊を制したのは、問屋の角を曲がった時である。

「気ぃつけろよ‥?」

「分かっておる」

 何か、気配がする。

(‥何者だ‥)

「いつでも抜ける準備しとけよ?」

「‥お前に言われなくとも‥」

 心得ておる、という台詞は続かなかった。

 言っていたとしても、刀のぶつかりあう音にかき消されていただろう。

「華郎、後ろ気ぃつけとけよ」

「‥ぁぁ」

 雛菊は草助の背をかばうように刀を構えた。

 相手の数は三。

 どうやら賊であるようだ。

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