《MUMEI》 あの日以来、僕は心から美味しいと、そう仰って頂ける御菓子を作りたい──そう思ってきました。 アンリ様に、喜んで頂きたい。 笑顔になって頂きたい。 その気持ちは、今も変わりません。 ですから、今もレシピとの奮闘が続いています。 それは決して、辛い事ではありません。 僕が辛いのは、あの御方が悲しまれる事。 あの御方が御遠慮なさる事。 あの御方が幸せになって下さるのなら、何でもして差し上げたい。 それが、僕の本望です。 さて、アンリ様を御呼びしましょうか──。 「──紅茶の支度が整いました。広間の方へどうぞ」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |