《MUMEI》

「──わぁ‥」

アンリ様はクッキーの御皿を目の前にされると、目を輝かせて暫し見つめ、1枚を手に御取りになりました。

そして1口。

「リュート、クッキー作るの本当に上手だよね──」

「ぁ‥、いえ、まだ‥」

まだ──これは納得のいく物ではありません。

「リュート──」

「!‥はい」

「また作ってくれる?」

「──はい、勿論です」

そう仰って頂けるのなら──嬉しいです。

今度は、もっと美味しい物を作れるよう──頑張らなくては。

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