《MUMEI》

昔は殴ってしまった、俺を見る目が、怖くて。

眼鏡を割った。


今もまだ怖い……
ネクタイを解いて、手首に巻き付けておいた。
飾りみたいな物で、気休めだ。




昭一郎を犯した


一度目は、食事会の後
言葉での凌辱

二度目は、一方的に離婚届を彼女に渡して姿を消した日、
雇った男数人を率いて合鍵を返すついでに嬲った。


そして、
二度あることは三度ある。


頭の中で何度も醸し出した彼の匂いに酔いながら
夢よりも夢らしく
夢中で昭一郎を抱く。




「…………ン 」

彼は意外にも小さく呻く。

舌を声を出せないくらいのキスで塞ぐ。
目尻に皺を寄せ、苦悶に喘ぐ表情を浮かべるその顔が、俺の葬り去った黒い情欲を煽り立てた。

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