《MUMEI》

次の日。


いつも通り学校に着くと、



「…椎名君、ちょっといい??」



校門前で、祥ちゃんに呼び止められた。



「…う、うん」



答えて祥ちゃんについていく。



「…あのね、話が、あるの」



体育館裏。



―…祥ちゃん、告白するつもりなんだ…!!



「あのね、…気付いてたかもしれないけど―…」


「ちょっと待って!!」



私がいきなり上げた声に、祥ちゃんは驚いて口をつぐんだ。



「…いろいろ、事情があって―…」


「…事情…??」


「あの、もう少し、待ってくれないかな!?」


「―……え」


「もう少しで、いろいろ落ち着くと思うから…
ごめん、じゃあ!!」



祥ちゃんを残して走った。



―…だって、祥ちゃんの気持ち、私が聞いても意味無いもん。


ちゃんと、本物の椎名くんが聞かなくちゃ。



―…それに、



祥ちゃんの『好き』を、
私が椎名くんに伝えるの、辛い―…





ごめんね、祥ちゃん。

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