《MUMEI》

「綺麗だよね、この砂──」

「本当ですね。‥、」

「それ、リュートにあげる」

「‥アンリ様‥?」

「貰ってくれる?」

「宜しいの‥ですか‥?」

「うんっ」

「──有り難うございます」

大切にしなければ──。

「気に入った?」

「──はい、とても」

そう答えると、アンリ様は本当に嬉しそうににっこりとされました。

「良かった、喜んで貰えて──」

「有り難うございます、アンリ様」

砂時計を両手に握り締めて、僕はもう一度、アンリ様に御礼を言いました。

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