《MUMEI》

細い背中が震えていた、胸元で聞こえる息遣いが熱い。
銀二は無言で俺の胸に顔を埋めていた、何かを話せばすぐにでも離ればなれになってしまう現実を認めなければならない

「‥‥それに、一緒にいたら格好悪いとこ見られちまうだろ」
「そうだな」

そこは即答なのかよ!

「‥‥返答早くね?」
「でも格好悪いとこ見たくねーし。なおひろは格好良くなきゃダメ」
「ハードルたけぇなぁオイ」

見上げる茶色の目が潤んでいて、白い額にデコピンをかましてやると、ぎゃ!と芸人のような反応で俺の腕から逃げていった。これで恋人の涙を誤魔化すことができた。

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