《MUMEI》

「な、もし伊藤さんいなかったら、隆志とは…」




「バーカ、もしなんて馬鹿じゃん?
もし左の道にたまたま行ったら吉牛があってCoCo壱の気分が抜ける様なもんだろ?

まーあったかもしんねーしなかったかもしんない、それと同時に俺と惇が付き合ってたかもしんないパターンもあるだろ?、あ、烏龍茶もっと飲む?」



「…いい、もう、ありがとう」




先に食べ終えた裕斗は煙草を吸いだした。




そうだ、運命なんて決まっちゃいない。




いろんなパターンがあって、先なんかどうなるかわからない。

そう…



これから先どうなるかなんて…




でも、だからこそ自分次第で、努力次第で未来を変える事ができる。





全ては俺次第。





逃げてたら前には進めない。




逃げてちゃいけない…。





弱い心に甘えてちゃいけない。






俺は俺だから。






俺は俺だから……






「もし、…あ、またもしの話していいか?最後にすっから」




「しょうがねーなあ、最後だぞ、何?」





裕斗はそう言いながら明らかに年上な、落ち着きのある視線で俺を見つめてきた。

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