《MUMEI》

 雛菊が眠りに落ちたのは、それから間もなくの事。

 一方、草助はというと、あれ程に欠伸をしていたというのにまだ目を開けていた。

 ぼんやりと天井を見つめ、時折傍らに目を向ける。

 この娘、本当にただの娘なのだろうか。

 武家の出であったにせよ、女子(おなご)がこのような振る舞いをするなど聞いた事もない。

(それに──何かまだ隠してるような気ぃすんだよなぁ‥)

 そんな事はいざ知らず、雛菊は草助に背を向けるようにして、静かに寝息を立てている。

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