《MUMEI》

「気になるのか」

「ん?」

「私の身の上が」

「そりゃ──気になるけど」

「‥良かろう」

「ぁ‥?」

「お前にだけは教えてやる。──但し」

「但し‥?」

「絶対に誰にも言わぬと誓えるか」

「おう。てか‥何でだ?」

「お前は口が軽いからな」

「そういう事な」

「そうへらへらばかりしていて‥よくあのような剣捌きが身についたものだな」

「ははっ、だろ?」

「‥お前‥何を言われても受け流すのだな‥」

 こいつの怒る所など見た事が無い、と、雛菊はふと思った。

(‥変わった奴だな‥)

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