《MUMEI》

“クラウド”


俺の真の名。


ちょっぴり気恥ずかしい気もしたが、
嬉しかった。


ようやく俺の存在を認められた気がして。


その時、突然足元が青く輝き出した。


呆気に取られて見ていると、
次第にそこから水が溢れだしていく。


「ば、バカ!」


グレイドが慌てて俺の腕を掴むと、
その場から身を遠ざけた。


そして、俺に跪くように命じた。


辺りを見渡すと、
皆、グレイドと同じように膝まついている。


不思議に思ったが、
俺も従うことにした。


青く輝き出した場所からは、
以前にもまして水が勢いよく吹き出している。


しばらく目を瞬くうちに、
その水が人のような形を帯びた。


何?何が起こるんだ?


そしてそれが完全に人の形となった時。


俺はその人の姿を見て目を見張った。


何故なら、今まで見たこともない姿だったから。

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