《MUMEI》
「伊藤さんより、隆志より、先に俺が裕斗の事気になってたとしたら…、もし先に俺が…告ってた……ら
!!!
……、…、……ンッ…、……」
すっと重なってきた…唇。
あったかくて柔らかくて、煙草臭くて。
ゆっくりと瞼を閉じると日差しのせいで目の前は暗闇にはならずオレンジ一色になった。
…俺今
裕斗に…
裕斗と…キス…してる……
「…知ってた、だいぶ前から…惇がちょっと違う感情で俺の事見てたの……、隆志に告られる前から気付いてた……」
「!!!……な…」
「…あの頃の俺色々余裕なかったから気付かないふりしてスルーした…、ごめんな、何もかも無視して…」
……
「何だよ知ってたのかよ…、
最初見た時…、
なんて綺麗な奴なんだって思って気になってさ…、
それ隆志に言ったら軽くあしらわれてな…、
つかそれって後で考えたら権勢されてただけだったんだけど…」
ふらつく…気持ちが…
心がグラグラいってる…
「…〜、ゆ、……」
すると俺は…ふわりと床に寝かさた。
優しく俺の髪を撫でる裕斗。
そして額にチュッとキスを落とされて…
胸の奥が一瞬でざわつきだした。
「俺は秀幸が好きだ、それは変えられない、俺は秀幸無しじゃ生きられない」
「…うん……分かって…る…」
「惇もダチとしてしか見らんねー、それはもうかえらんね、……でもダチとしちゃ秀幸より、秀幸と比べ様がない位好きだ…、大切にしたい奴だ……」
「……うん…、うん…、ありが…とう」
何故だか胸が苦しい。
これってうれしいのかな?
そんな風に想われるなんて事が……
裕斗の背中に自然と俺の腕が回る。
「俺もダチとして裕斗が大好きだ、阿呆っぽいけど大好きだ…」
「フフッ、阿呆だあ?何だとこの野郎」
「裕斗はどっから見たって阿呆だろ?
でも……、許す」
「クソ…意味わかんねーし…」
シャツをたくしあげられ俺の胸を裕斗の手の平が愛撫しだして
「?ゆ…と?……ふ……ッ!」
「一時間だけ……
ダチ休憩
一時間だけ、一生のうちの一時間だけ、恋人になろう?」
「ゆ…ゆうとぉ……」
俺だけに向けた酷く優しい笑顔の後、
視界が暗くなり唇が塞がれた。
俺の裕斗に対する
……恋心。
裕斗はきっと全部分かってて、分かった上で俺を抱き始めた。
恋人よりダチとしての俺を優先させて、俺の肌を探りだす。
隆志が裕斗に今だに惹かれてしまう事や俺も惹かれてしまう事。
−−−隆志が裕斗を抱いた過去。
全部、全部、この一時間に俺はぶつける…。
全てが終わった後、
きっと答えが出ると信じて
「裕斗…、愛してるって…」
「愛してる惇、愛してる」
再び重なる唇。
俺は離さないとばかりに裕斗をきつく抱きしめた。
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