《MUMEI》

俺は、膝を抱えて、うつむいてた

麻美も同じだった

外で、子供達が遊ぶ声がしてる
 
 

麻美「……覚悟かぁ…」

麻美がつぶやいた

麻美「…ねぇ、優斗…」

麻美は、消えたままのテレビの方を見ながら、話しだした

麻美「…嫌じゃないの?」
「あんな奴らに、…私…」
俺「………麻美の意志だったの?……」

麻美「……そうだったら…」

俺「……嫌だよ……めちゃくちゃ………」

麻美「……言ったんだ…」「…嫌がるエリより、
私の方が…いいんじゃないって……」

俺「……」

麻美「…だから、抵抗しなかったの……」

俺「……」

麻美「…優斗、許せる、
そんな私を……」

俺「……わかるように、説明してよ…」

麻美「……事実よ……」

俺「…やられたかった訳じゃないだろ…」
「事実は、奴らに輪姦された…それでいい…」
「……」
「麻美が、何を考えてるかがわからない………」

麻美「……」

麻美、消えてるテレビを見つめてる

俺は麻美の横顔をみつめてた

麻美「…」
麻美が瞬きをすると、
涙が頬を伝う、

俺「…俺と、別れる覚悟だったんだ……」

麻美がうなずいた

俺の心に、重たい何かが…
内臓を抉られた気がした

麻美にとって、俺は必要じゃないのか?…
なら、なぜ、今、ここにいるんだ?…

わからない…

俺、麻美がわからない…

麻美「……逃げたって……何も変わらないよね……」
「みんなを、苦しめるだけ……」

あぁ、そうか……
麻美…キチンと別れるつもりで…
…ここに来たのか……

俺「なぁ、麻美…」

俺も、消えてるテレビをみながら話した

俺「どうなるにせよ、嘘は止めようよ…」
「…お互い、本心でさ…」
麻美「……うん…そうだね…」

覚悟かぁ…俺、  覚悟決めなきゃ…

麻美を………失う…… 

胃が、キリキリと傷んだ

頭の中で、誰かが鐘をガンガン鳴らしてる…

眉間にしわをよせながら
苦痛に耐え、拳を固めた

どうなったって、誰も責めない
俺1人の責任にしよう

惨めでも、
情けなくても、

誰も傷つけたくない

独りなら… それでいい…
独りなら……全ての事に…意味はないのだから…

覚悟……そんなものはない
決意……麻美が居なくなるなら…

涙が止まらなかった

俺は洗面所で、頭から水をかけた

タオルで拭き、鏡を見た

「情けない顔してらぁ」

今、俺に出来る事

麻美が、この先、幸せになるように、送り出す事だけだ

決意……しなくちゃ…

鏡を見た

麻美が写ってた

俺の後ろから、麻美が声をかけてきた

麻美「優斗…」

心配そうな顔だ…

俺は笑顔を作りながら振り向いた

俺「大丈夫、麻美、話そう」
そう言って、リビングに戻った

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