《MUMEI》

 小間物屋を出た後、草助から渡された包みを、雛菊は大事そうに抱えていた。

 後で開けてみな、と言われ、中身はまだ知らされていない。

(一体何なのだ‥?)

「なぁ?」

「ん‥」

「お前勝ってに出て来て大丈夫なのか?」

「‥分からぬ」

「何でさぁ、こんな事してんだ?」

「やってみたくなってな」

「つまり──退屈だったって事か?」

「疲れたのだ。あの暮らしに」

「──なるほどなぁ」

「お前が旅をしているのと似ているとは思わぬか」

「んー、まぁそうかもな」

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