《MUMEI》
交流
 残された二人は落ち着かない様子でしばらく座っていたが、やがてユキナが近くにいた男に声を掛けた。
この中では、比較的気の弱そうな青年だ。
「あの、由井さんって、ここのリーダーなんですか?」
「え?ああ、まあ、そうかな」
青年は曖昧に頷いた。
「他に年上の人はたくさんいるのに、なんで由井さんが?」
「んー、本当は僕たちにリーダーはいないんだ。けど、こういう活動をしている限り、やっぱり誰かがまとめ役をしないといけないだろ?それが自然と由井さんになった。
 彼が一番この活動に意欲的だし、仲間想いで勇敢だからね」
「そうなんですか」
「お前ら由井さんに、感謝しろよ。本当ならお前らをここに泊めてやる義理なんてないんだからな」
 いつのまに来たのか、少年たちがユキナの近くに座っていた。
「わかってるわよ。あんたに言われなくても」
 多少、怯えながらもユキナは言い返した。
「へえ、そうかい」
「あんたは、由井さんのダチなんだよな?」
別の少年がユウゴに言った。
「まあな」
「ふーん」
 品定めをするように、彼らはユウゴを眺めた。
「なんだよ?」
「いやー、由井さんのダチの割には、貧弱そうな奴だなと思って。なあ?」
少年たちが馬鹿にしたように笑う。

 たしかに、由井は体格もよく、運動神経も悪くない。
 昔は喧嘩ばかりしていたと言っていたから腕っぷしも度胸もいいのだろう。
しかし、ユウゴだって今までのほほんと生活してきたわけではない。
 それなりに修羅場をくぐり抜けてきたし、運動神経もいい。
腕力は由井に及ばないが、その分、頭が回る。と自分では思う。
「お前らよりは全然マシだと思うけど?」
「何だと?」
「ほら、すぐそうやって凄むだろ?それがすでにダメだ。頭に血を昇らせてたら、冷静な判断ができないぜ。特に、こういう状況下では周りが見えなくなったら終わりだ。
その点、俺はいつでも冷静」
 ユウゴの言葉に少年たちはしばらく考え、頷いた。
「確かに。けどなんか、お前のそのやけに冷めた態度がムカつく」
「でしょ?わたしも思ってた。会ったときからずっとこうなんだよ?おまけに思いやりも優しさもない」
なぜか、ユキナが少年たちに加勢している。
「なんだよ、女には優しくしねえと、モテねえぞ?」
「だから彼女できないんだよ」
「なんか、一緒にいても楽しくない感じ?」
「ああ、そうそう。ユウゴって基本的に自己チューだから」
ひどい言われようだ。
彼女がいないと決めつけられている。
……実際、いないのだが、やはり少しムカつく。
 しかし、さっき偉そうなことを言った手前、ここは冷静に対応しなければ。
そしてユウゴは無視することに決めた。
「あ、無視ですか?お兄さん」
「大人げないな〜」
逆に突っ込まれてしまった。
 こんな感じで会話は続き、少年たちとも打ち解けた頃、由井が戻って来た。

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