《MUMEI》
不思議な人(櫻視点)
「あぁ、これは俺が自分でやったんだ」

「…え?」


自分で?


自分の耳に、穴を?


…わけがわからない。


「いい加減離してくんない?」

「…?」

「俺、耳敏感だから」


敏感? 耳が?


耳…


蒼様の…





「すすすすみません!」


はしたないはしたないはしたない


いくら気になったからって!


私は慌てて蒼様に触れていた手を戻しました。


初対面の方に馴れ馴れしく触るなんて…


自分のはしたない行動に顔が熱くなるのを感じました。


「櫻。こっち見て」

「は、はい」


恥ずかしい


そう思いながらも、私は顔を上げました。


「これはね、これを着ける為の穴」


そう言って笑う蒼様の耳をもう一度見ると


「綺麗…」


そこには、色とりどりの石が付いていました。


「だろ? ピアスって言うんだ」


ぴあす…


蒼様は


不思議な言葉や珍しい事を知っている


不思議な人


です

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