《MUMEI》

「つ、つまり……。

俺は颯ちゃんの前で明るく振る舞っていればいいのか?」


「そや。

ごめんな、力になれんくて…。」


「いや、賢ちゃんはよくやったよ。

そんなに落ち込む必要は無いぜ!」


「そうか……?」


「おう!
だから元気出しなって!

後は俺に任せとけっ!」

……そうは言ったものの、
未だ信じられない自分がいる。


颯ちゃんが人間じゃ無いって?


じゃあ一体颯ちゃんは自分をどう思ってるんだ?


だから、今朝一緒に登校してそれを確かめようと思ったんだ。





急いで颯ちゃんの家へ向かうと、
既に颯ちゃんは準備が出来ていたみたいだった。


「遅い。」


俺の姿を見るなり、不機嫌そうに呟く。


「ごめーん!

ちょっと準備に手間取った!」


「お前ん家、汚いもんな。」


颯ちゃんはフッと笑うと、
寄り掛かっていた壁から身をはなす。


「うっせ!
ちゃんと片付けました〜!」


「じゃあ今度訪ねてもいいか?」


「んーそれはちょっと困るな!」


俺のその言葉を聞くと、
颯ちゃんは愉快そうに高笑いした。


なんだ。


いつもの颯ちゃんじゃないか。


賢ちゃん……。


冗談も程々にしろよ!

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