《MUMEI》
努力が実る
「「おかえり」」


俺と志貴が声をかけると


「ただいま」×3


サッカー部三人組は笑顔で答えた。


「いや〜、悪いな、祐也」

バシバシ!


「痛てーよ、守」

「悪い悪い」


バシバシ!


「いい加減にしろ!」

「悪い悪い」


再び背中を叩こうとせる守の手首を俺は掴んだ。


なのに、守はヘラヘラと笑っていた。


「気持ち悪い」

(俺も、そう思う)


志貴の言葉に俺は頷いた。


「まあまあ志貴さん」

「祐也もそんな顔すんな。今回は仕方無いんだよ」


珍しく拓磨と真司が守のフォローをした。


(いつもは放置してんのに)


「何か…」

「聞きたい?聞きたい?聞きたい?」


『聞いてくれ』


守の顔はキラキラと輝いていた。


(どうするか…)


チラッと真司を見る。


『聞いてやって』


真司の口がそう動いたので、俺は口を開こうとした。

…が。


「俺、次から試合出れるんだよ! こっそり自主練した成果がやっと出たんだよ!やっぱり努力は報われるんだ!
やった、やったよ!俺、やっ…ゲホッ」


待ちきれなかった守は、最後は軽くむせながら報告した。

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