《MUMEI》

 あまりに草助がしつこい為、雛菊は渋々包みを開けた。

「──ぁ」

 中から出てきたのは、簪だった。

「何ゆえ簪を‥?」

「いやさ、気に入るかなぁって」

「───────」

「ぁ‥気に入らねかったか‥?」

「──いや」

「?」

「気に入った。──有り難う」

「ほ‥‥ほんとか?」

「私が嘘を吐くと思うか」

「いや──思わねぇけど‥」

「けど‥? けどとは何だ」

「ぁぁ‥、いや──」

「何だ、はっきりせぬ奴だな」

「役に立つかもなぁ、ってさ」

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