《MUMEI》

「役に‥?」

 これは装飾品ではないか、と雛菊は思う。

「簪とは髪に飾る物であろう? 何ゆえ──」

「一応、武器にもなるだろ?」

「!?」

(武器‥だと‥?)

「まぁ、あんまし使う事はねぇかもだけど──、持っといて損はしねぇ筈だぜ?」

「‥ふむ‥」

(刀を持ち合わせていない場合には使えるやも知れぬな‥)

「有り難う、草助。貰っておくぞ」

「よっしゃ」

 草助は、やった、とばかりに笑顔を見せた。

 雛菊も釣られて笑みを零す。

(楽しい奴だな──)

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