《MUMEI》

規定の時間より一時間早く着いちゃった。



ちーちゃんと、家の庭でデート!

相変わらず我が家は広くて人目につかない森もあるの。
今日は二人だけが知る思いでの場所にて待ち合わせ。

うふ、今日は気合い入れてピンヒール履いたりして。


結局、お弁当は止めてお菓子を作ったの。
クッキー、食べてくれるかなちーちゃん……


「……来たか」

きゃ、ちーちゃんだわ!


「ふふ、逃げ出したかと思ったわ。」

もう、もう!
待ってる間ずっと不安だったんだからあ!


「……千花。いい加減言わないとならない。」

ち、ちーちゃんそれはもしかしてっ……告白?!



「随分と強気に出て来るじゃないっ……」

やだ、まだ心の準備がっ!





「新しい目標が出来た。それには氷室家の権力とタマが必要だ。千花にはもう、奪わせない……交渉決裂という訳だ。」

それは……
新しい愛の告白?

違うわよね、そんな筈ないわ。
ちーちゃんが、私の敵になるなんて!


「どうして、私の下で大人しくしていられないの……これでも……、喰らいなさいいっ!」

ちーちゃん、私の渾身のクッキーくらい食べて頂戴!


「相変わらずの狙いの良さだな、樹齢60年の木に半分はめり込んだ……」

ちーちゃん、軽やかに避けて……食べてくれなかったのね、しゅーん。
でも褒められちゃった。嬉しいっ!


「俺も退屈からやっと抜け出したんだよ……千花『姉さん』、これからは敵同士だな?」

ちーちゃん、いつの間にか私の背丈を越えて行ってしまった……
今は強いオスの威厳だわ。


「ならば、全てをまた私が奪ってあげる。」

昔のちーちゃんに私が戻してあげる。


パパ(←千石)の馬鹿あ!
パパのせいでちーちゃんとの仲が拗れたら脳天かち割っちゃうんだからあ!

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