《MUMEI》

「次は何処へ行くのだ?」

「どっか行きたいとこあるか?」

 すると雛菊は難しげな表情をして空を見つめ、再び視線を前に戻す。

「何処でも構わぬ。お前の好きに行け」

 そう言うと、雛菊はふと後ろを振り返る。

 だが、人影はない。

(気のせいか‥)

「華郎」

「草助‥?」

「‥‥‥‥来るぞ」

「!?」

 雛菊の勘は当たっていたらしい。

(尾けられていたか‥)

 素早く、腰の鞘に手を掛ける。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 気配はある。

 にも関わらず、姿が見えない。

(どういう事だ‥?)

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