《MUMEI》

「‥‥‥‥‥‥‥」

 何処から来るか分からない。

(何処だ‥)

 刹那、黒い影が横切った。

「!?」

 切られてはいない。

「草助っ」

「俺は何ともねぇけど?」

「‥そうか」

 今のは何だったのだろう。

「草──」

 再び振り向こうとした時だった。

「‥!」

 目の前に、刃。

(‥何処から‥)

 切っ先を突き付けれたまま、雛菊は身動きが取れない。

「‥!?」

 ふと、彼女はある事に気付いた。

(草助は‥)

 今まで後ろにいた筈だ。

 だが、今そこにいるのは見知らぬ男。

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